文化資源学とは

文化資源学

文化資源学文化資源学とは、世界各国・各地域の文化を、「文化遺産」、「文化財」という言葉についてまわる価値評価から解き放ち、新たな価値を創造するための「文化資源」ととらえ直すことで、人類文化の総合的・多角的な研究と保護・活用法の開発を目指す、新しい学問分野である。

グローバル化が加速度的に進むなか、文化の違いはなくならないどころか、一層その摩擦面が顕著になる状況である。そうした状況のなかで、異なる文化の共存を実現するには、違いを互いに尊重するだけでなく、互いにとっての有用性を認識することが重要になる。そうした有用性の活用は、世界遺産の観光利用や伝統薬物の薬品への応用、伝統工芸の最先端技術への応用などですでに始まっているが、一方的な利用が偏狭なナショナリズムの発生や経済的利益の収奪といった問題も生じさせている。文化の違いも人類全体で共有する資源として、その価値と有用性を評価する姿勢を涵養することが、グローバル社会における喫緊の課題なのである。

写真以上のような状況から、世界各国・各地域におけるローカルな場で蓄積された知識・技術をいかにグローバルな状況下で有効に活用しうるかについて、特定の国や民族あるいは企業等の主張や利益に影響されることなく、中立な立場から評価するための学問分野の必要性が浮かび上がってくる。「文化資源学」という新設学問領域が担うのはまさに以上のような問題であり、「多文化共生」をさらに一歩進めた「多文化共用」という将来的課題である。

文化資源学の実践

写真文化資源学の実践は、グローバル化の進む現代社会においてもきわめて有用なものである。たとえば、文化資源学は、経済開発やグローバリゼーションの進展で消滅の危機に瀕している各国・各地の「文化資源」の保護・継承・活用という課題に学問の立場から真剣に向き合うが、研究が進展することで、偏狭なナショナリズムの発生や文化資源をめぐる経済的利益の収奪等の諸問題の解決に貢献するであろう。また、ローカルな文化資源のグローバルな活用策の国や企業に対する提言や、当該住民の権限に十分な配慮をした資源管理運営方策の立案などを、学問的な根拠に基づいて実施することが可能になる。こうした、実社会へのコミットメントが想定されていることも、文化資源学の特色である。

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